【地域連携プロジェクト】 能登に出かけてきました

「能登の里海ガイドブック制作プロジェクト」~能登に出かけてきました~

社会情報学部環境情報学専攻の細谷先生と3年ゼミ生が取り組む地域連携プロジェクト「能登の里海ガイドブック制作プロジェクト」では、金沢大学環日本海域環境研究センター臨海実験施設(以下、臨海実験施設)をはじめとする能登のみなさんたちと共同で、子どもたち、特に小学生に能登の里海の楽しさや大切さを知ってもらうためのガイドブックの制作を計画しています。
すでに前期のゼミの時間を利用して、ガイドブック制作に向けてグループディスカッションを行い、大まかなイメージをまとめてきました。それをふまえて、ゼミ生9名と細谷の計10名で、8月24日~26日に能登に出かけ、能登の里海を実際に体験すると共に、現地の方たちとの情報交換を行ってきました。その様子をご報告させていただきます。

<8月24日>
羽田から飛行機で1時間、さらに能登空港からタクシーで1時間ほどで、お昼前に能登町にある臨海実験施設に到着しました。
午後から早速、ガイドブック制作を一緒に行ってくださる浦田慎先生に、日本海、能登半島、さらに臨海実験施設のある九十九湾(つくもわん)の海の特徴などを解説していただきました。引き続き、浦田先生を中心に、臨海実験施設長の鈴木信雄先生にも臨席していただいて、ガイドブック制作の方針や子どもたちに興味を持たせるアイディアなどについて議論を交わしました。
夜は自分たちでカレーを作り、臨海実験施設のみなさんと一緒に食べました。その後、施設前の桟橋で集魚灯を用いた灯火採集をさせていただきました。小さなアジやクラゲを網で捕まえることができたゼミ生もいて、当初の予定を大幅にオーバーして、2時間近く夜の海の生きものたちを観察しました。

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浦田先生の講義

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ガイドブックの制作の打合せ

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カレー作りの様子

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灯火採集の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<8月25日>
臨海実験施設の周辺には、「のと海洋ふれあいセンター」や「石川県立能登少年自然の家」など、子どもたちが海に親しむための施設があります。ガイドブックではそれらの施設も紹介していきたいと考えており、実際に施設を訪問してお話を伺い、見学をさせていただきました。
午前中には、「のと海洋ふれあいセンター」を訪問しました。本館では、海の生きものに直接さわれるタッチプールを含めた展示室や3Dのマリンシアターなどがあります。また、海の自然体験館では、シュノーケリングをはじめとする様々な体験教室を行っています。今回、九十九湾の生きもの調査を兼ねてシュノーケリング体験教室に参加する予定だったのですが、この日はあいにく台風15号の影響で波が出て、体験教室は中止となってしまいました。しかし、学生たちはシュノーケリングの前に行われる説明を聞き、マスクを装着してみるなど、少しだけシュノーケリングの雰囲気を味わっていました。海を体験するには、様々な準備や注意が必要なことも実感しました。その後、センターの近くの磯の観察路を散策して、どのような生きものがいるかを調査しました。
午後からは「石川県立能登少年自然の家」を訪問しました。ここは主に石川県の学校が宿泊学習で利用している施設で、施設全体は船の形をしています。海が穏やかなので、大型のカヌーの乗船体験などを行っています。
さらにその後、能登町立小木小学校を訪問しました。小木小学校は文部科学省の教育課程特例校に指定されている学校で、全国でも珍しい「里海科」という科目が設置されています。海を学ぶことが国語や算数などと同じような科目の一つになっているのです。私たちが制作するガイドブックを、この里海科の授業で活用してもらいたいと考えており、先生方にガイドブックへのご助言をいただけるよう、ご挨拶とお願いをしてきました。
夜は臨海実験施設の方たちが懇親会を企画してくださり、能登の美味しい海鮮を食べながら、楽しく語りあいました。

 

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のと海洋ふれあいセンター前で

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シュノーケリングの説明

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磯の観察路脇の潮だまりで生物観察

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臨海実験施設のみなさんと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<8月26日>
「能登の里海ガイドブック制作プロジェクト」には、細谷ゼミの卒業生で、能登町の隣の穴水町で現在地域おこし協力隊の一員として活動している齋藤雅代さんも加わってくれています。能登訪問最終日の26日は、齋藤さんのご協力で、穴水町の方たちとの交流を行ってきました。
最初に、穴水町新崎(にんざき)地区で能登の古式伝統漁法である「ボラ待ち櫓(やぐら)漁」を復活させ活動している、新崎・志ヶ浦地区里海里山推進協議会の岩田正樹会長さんたちのお話を伺いました。能登は国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に指定されており、里山里海での日々の営みそのものが次世代に残すべき大切な地域システムとなっています。岩田会長さんたちは、平成23年にボラ待ち櫓を復元し、伝統的な手法で漁を行っています。櫓の下に定置網を設置し、櫓の上でボラが入るのを待つという、自然と一体化した環境にやさしい漁法です。ボラというと、東京湾などでも見られる大衆魚を連想しがちですが、穴水のボラは「銀ボラ」と呼ばれ、かつては能登でもお祭りの時などに食べる特別な魚だったとのことです。しかし、今では能登でも食べる人が減ってしまい、ボラ漁だけで生計を立てることが難しい状況だそうですが、今後「新崎の銀ボラ」を全国区にし、ボラ漁を完全復活させることが目標だと、熱く語ってくださいました。ちなみに、その日のお昼に銀ボラの照り焼きを食べました。しっとりしたサワラのような、本当に美味しい味でした。
予定では、お話を伺った後、船でボラ待ち櫓まで行き、実際に櫓に上らせていただくことになっていたのですが、この日も台風15号の影響で波があり、残念ながら櫓に上ることはできませんでした。次の機会にはぜひ上りたいと思っています。

 

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岩田会長さんのお話

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ボラ待ち櫓(はるか後方)と記念写真

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ボラを採る網の見学

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ボラ待ち櫓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たった3日間ではありましたが、出会ったみなさんの能登に対する熱い思いと素晴らしい自然に感激し、この能登の里海の魅力を子どもたちに伝えられるガイドブックを作りたいという思いを新たにし、名残を惜しみながら帰路につきました。

今後は、具体的なガイドブック制作作業に取り掛かることになります。その様子については、またご報告をさせていただきたいと思っています。

<関連サイト>
・細谷ゼミナール 身近な磯のガイドブック作り―子どもと海をつなぐ試み―
http://www.sis.otsuma.ac.jp/kankyou/kankyou-hosoya/5604/

・金沢大学環日本海域環境研究センター臨海実験施設
http://rinkai.w3.kanazawa-u.ac.jp/

(社会情報学部教授・細谷夏実)